警備員と万引き容疑者がもみ合っている声に小学生が気づき、父親が追いかけて容疑者を取り押さえた――。こんな逮捕劇が名古屋市昭和区で6月にあった。
「誰か捕まえてー」。マンション3階で家族3人で夕食をとっていた太田詩温君(9)が騒ぎに気づいたのは、6月24日午後7時40分ごろのこと。ベランダに出ると、目の前の路上で暴れている2人が見えた。
「いくぞ」。父の一徳さん(42)が外に出ると、路上で私服警備員の女性(58)の腕から血が出ていた。「追いかけて」と女性。一徳さんが逃げる男を代わりに追跡した。もみ合いながらも60~70メートルほど先で男を取り押さえ、駆けつけた警察官に引き渡した。
男は市内の63歳。近くのスーパーで食品を万引きし、警備員にけがをさせたとして強盗致傷容疑で送検された。
「必死でした」と一徳さん。一緒に外に出た詩温君も「怖かった。こんなことあるんだ」。一徳さんは名古屋市緑政土木局の職員で、道路や河川、公園の維持管理を担当する。今月5日に昭和署から感謝状が贈られ、「市では安心安全を守る仕事をしている。今後も警察と連携していけたら」と話した。(田中恭太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル